今回は、東京都府中市にある個人邸のお庭のリニューアル工事を手がけさせて頂きました。
お庭は、お客様のお住まいとご家族がお住まいの建物との間に位置しており、作られてから十数年が経過していました。
広々とした敷地内には、芝生や枕木、石畳、レンガ花壇などがバランス良く配置されており、当初からしっかりと計画・設計されたお庭であることが感じられました。年月を重ねたことで生まれた落ち着いた雰囲気もあり、大切に使われてきたことが伝わってくる空間でした。
一方で、近年は芝生の管理や高木の剪定、日常的な除草作業など、お庭の維持管理にご負担を感じられるようになっていたとのことです。
そのため今回は、既存のお庭の良さや雰囲気をできる限り活かしながら、日々のお手入れの負担を軽減し、より扱いやすく快適に使っていただけるお庭となるよう計画・施工を進めさせて頂きました。

・施工前の状況
アプローチに使用されていた既存の枕木は、経年により傷みや腐食が見られたため、状態の良いもののみを選別し、別の場所で再利用することにいたしました。
新たなアプローチには、お客様とご相談を重ねながら選定したアンティークレンガを使用しております。落ち着いた風合いと自然な色むらが、お庭全体に温かみのある表情を与えています。
また、一般的なアプローチの舗装幅は70〜90cm程度で施工することが多いですが、今回は「土の面積を減らし、除草作業の負担を軽減したい」というお客様のご要望を踏まえ、あえてゆとりのある広めの幅で計画いたしました。歩きやすさはもちろん、管理のしやすさにも配慮した設計となっております。
さらに、門から玄関まで比較的距離のあるアプローチのため、単一のデザインでは単調な印象にならないよう工夫を加えています。
レンガの間には異なる石材をアクセントとして取り入れ、加えて「長手張り」と「ヘリンボーン張り」という二種類の貼り方を組み合わせることで、変化とリズム感のあるデザインに仕上げました。歩を進めるごとに表情が移り変わり、視覚的にも楽しめるアプローチとなっております。


お庭の中央部には、お客様とそのご家族が行き来するための動線として、以前からコンクリート製の敷石が設けられておりました。
今回のリニューアルでは、単に古いものを新しく作り替えるのではなく、これまでの暮らしの中で自然と使われてきた動線や、お庭に積み重ねられてきた時間の雰囲気を大切にしたいと考えました。
そのため、既存のコンクリート製の敷石は一枚一枚丁寧に取り外し、状態を確認しながら再利用しております。配置についても、歩きやすさと景観とのバランスを意識しながら再構成し、以前のお庭の面影を残しつつ、全体の印象をすっきりと整えました。

・施工前の状況
また、アプローチの中央部には、新たに石畳のテラスを設けました。もともとのお庭は緑豊かな空間でしたが、今回はそこに、お客様とご家族が自然と集い、椅子やテーブルを置いて会話を楽しんだりできるような場所をつくりたいという思いから計画しております。
使用した石材は、既存の敷石や周囲のお庭の雰囲気に自然と馴染み、さらに新しく施工したレンガのアプローチとも違和感なく調和するよう、色味や質感のバランスを見ながら選定しました。異なる素材を組み合わせながらも、それぞれが無理なく溶け込み、お庭全体に統一感が生まれるよう意識しております。


また、このエリアも芝生をやめ、砂利敷きを取り入れることで、以前よりも管理のしやすいお庭へとリニューアルしております。ただ、砂利敷きのみで構成すると、どうしても無機質で硬い印象になりやすく、また太陽光の反射によって夏場に地表面の温度が上がりやすくなるため、植物への負担が大きくなる場合があります。
そのため、既存の高木が植えられている植栽帯には、針葉樹の樹皮を用いたマルチング材を敷き込みました。自然素材ならではの柔らかな質感が加わることで景観にも落ち着きが生まれ、あわせて土壌の乾燥や温度上昇を緩和し、植物が育ちやすい環境にも配慮しております。
また、植栽帯と砂利敷きのエリアは縁石によって明確に区切ることで、マルチング材と砂利が互いに混ざりにくいよう配慮しています。空間を適度に整理することで、それぞれのエリアの役割や使い方が分かりやすくなり、日々のお手入れもしやすいお庭となりました。加えて、景観全体にもすっきりとした印象を与えています。
既存の素材や樹木を活かしながら全体を整え直すことで、以前のお庭の記憶を残しつつ、より快適で使いやすい空間へと生まれ変わりました。

掃き出し窓の前には、もともとコンクリート仕上げのテラスが設けられておりましたが、今回のリニューアルでは、新たにウッドデッキへと作り替えております。
既存のコンクリートテラスは実用性のある空間ではあったものの、経年による汚れや色褪せによって全体的に古びた印象が強くなっており、今回新たに整えていくお庭の雰囲気とは少し質感の差が感じられる状態でした。また、素材としてもやや無機質で硬い印象があったため、お庭全体の雰囲気や植栽との調和を考え、木の温もりを感じられる空間へと整えました。
デッキの高さは室内から自然に出入りしやすいよう計画し、お庭との繋がりをより身近に感じられる場所としています。腰を掛けてくつろいだり、植物を眺めたりと、日常の中で気軽にお庭を楽しめる空間となりました。

また、門まわりについてもリニューアルしております。
既存の門まわりはアルミ製の門扉やフェンスによって構成されておりましたが、素材感としてやや無機質な印象があり、お庭全体の柔らかな雰囲気とは少し質感の差が感じられる状態でした。

・施工前の状況
そこで今回は、門まわりもお庭の一部として捉え直し、アプローチや植栽との繋がりを意識しながら、全体の雰囲気に自然と馴染むデザインへと整えております。
新たに設置した木調の横張りフェンスは、適度に視線を遮りながらも圧迫感が出過ぎないよう、板の幅や隙間のバランスに配慮しました。また、黒色の門扉やポストを組み合わせることで、空間全体の印象を引き締めつつ、素材感に統一感が生まれるよう計画しています。
なお、ウッドデッキやフェンスには、耐久性に優れた「イタウバ」を使用しております。イタウバは油分を多く含む非常に硬質な木材で、腐食やシロアリにも強く、屋外でも長期間安心して使用できるのが特徴です。天然木ならではの温かみを持ちながらも高い耐久性を兼ね備えており、経年変化も楽しみながら長く使って頂ける素材として選定しております。
さらに、アプローチに使用したレンガや石畳、植栽との相性も考えながら、色味や質感を丁寧に調整することで、門をくぐった瞬間からお庭全体の世界観を感じられるような入口空間へと仕上げました。


道路前の植栽帯は以前はカイヅカイブキが列植されていましたが、管理のしやすい低木たちにリニューアル致しました。


今回のリニューアルでは、単に古くなったお庭を作り替えるのではなく、これまでお客様ご家族が長い時間を過ごされてきたお庭の記憶や雰囲気を大切にしながら、現在の暮らし方に合った形へと整え直すことを意識しました。
既存の敷石や樹木など、活かせるものはできる限り再利用しつつ、新たな素材や空間を加えることで、以前のお庭の面影を残しながらも、より快適で使いやすいお庭へと生まれ変わっています。
また、除草や管理の負担を軽減するといった実用面だけでなく、ご家族が自然と集い、季節の変化を感じながら過ごせるような居心地の良さも大切にしながら計画・施工を進めさせて頂きました。
年月を重ねた既存のお庭と、新たに加わる素材やデザインとが無理なく馴染み合い、これから先も長く愛着を持って使って頂ける空間となっていれば幸いです。
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