横浜の庭

神奈川県横浜市にあるマンションのお庭を手がけました。

今回は既存の植栽帯のリニューアルになります。

お客様からは比較的グレードの高い賃貸マンションということから、植栽に関してもそれにふさわしいものに刷新して欲しいというご要望がございました。

既存の植栽は、新築時に建築業者が手配した造園業者が行ったと思われますが、腐植質に貧しい土壌に瓦礫が多数混入しており、だいぶ弱っている植物が目につきました。また、樹種の構成なども環境や建築に合っていない古めかしいものだったりと、確かに改善の余地があるものでした。

そこで、まずは土中の瓦礫を取り除き、そこに腐葉土などを入れ土壌改良から行いました。

土に腐植質が貧しかったり瓦礫などが多数混入していると、特に植栽したての段階ではうまく環境に適応することが困難になります。また保水性も低いので、特に夏などは土中の水分がなくなり、枯れる原因ともなりますので、土作りはしっかりと行うよう心がけております。

植栽については、面積が広いことから植栽帯全域に密度の高い植栽を施すとなると高額になってしまうということもあり、植栽帯を築山にして島状に配する案をご提案させて頂きました。そうすることで、スッキリとしたモダンな印象となり、空間に余裕があることで、大小様々な植物を前後左右に配置することができますので、植栽がより立体的かつ重層的に見えるようになります。

樹種については、落ち葉掃除が負担になるというご意見がありましたので、高木については全て常緑樹で揃えさせて頂きました。

マンションのエントランス付近のメインエリアには背の高いトキワマンサクの白花品種と、ソヨゴを植栽。

トキワマンサク自体は街路樹などでもよく見る樹種ですが、白花品種で自然樹形、そしてこの大きさのものは中々手に入らないものです。

シンボルツリーにふさわしい植物を探していて、市場や産地などを巡っている時にこれはというものを見つけました。

弊社ではご提案させて頂いた植物に関しては、実際に市場や産地に出向き1本1本見て回っています。とても時間のかかることですが、樹形や健康状態をしっかりと確認することで、それが全体的なお庭のデザインを向上させ、植物がより長く健康的に生育するためには欠かせないことだと考えています。

高木が全て常緑樹ということもあり、足元には落葉樹の低木や下草などを多めに植栽致しました。

落ち葉の量も高木に比べるとかなり少なくなりますので、なるべく掃除の手間を減らしたいけど、花や紅葉などの季節感を楽しみたいという方にはおすすめの構成です。

樹種は単一的なものになると人工的な印象になり、どうしても季節感が希薄になってしまいます。そればかりでなく、病害虫の被害にもあいやすく、またそれが拡大しやすくなりますので、なるべく様々な樹種を用いて多様性を持たせるのが大事だと考えています。

植栽以外のところでは、盛土の際や植物の近くに大小様々な景石を据えています。そうすることで、野趣のある雰囲気や重厚感を演出しています。

マンションの壁が石張りということもあり、植栽だけだとどうしても浮いてしまう印象があったため、景石を用いることでそのバランスを取るよう意識しています。

植栽帯の周りは針葉樹の樹皮でできたマルチング材を敷き詰めることで、雑草の抑制や土中の水分の蒸散を防ぎ、夏の暑さや冬の寒さから植物を保護することができます。また、植栽以外に庭の多くの部分を占める砂利は、近くに鶴見川が流れているということもあり、近隣環境との親和性も考え、川砂利を用いました。

こちらのマンションは一見分譲マンションかと見間違うほどしっかりとした作りになっておりますが、お庭もそれにふさわしいものにすることで、よりいっそう高級感のある佇まいになったかと思います。

工事期間中に入居者の方とお話しする機会がございましたが、「今までは植栽に気を止めることはなかったけど、これから楽しみになりますね」というお声を頂きました。

建物の内装や外装だけでなく、植栽にも気を配ることで住人の方の住み心地もさらに良くなるのではないでしょうか。

今後は、定期的にお庭のメンテナンスにもお伺いすることになっておりますので、さらに良いお庭にできるよう、しっかりと励んで参りたいと思います。

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