今回は、東京都調布市にあります新築住宅のお庭作りを手がけさせて頂きました。
建物は白を基調としたシンプルで洗練されたデザインとなっていたため、お庭についても素材感を大切にしながら、植栽の柔らかさや自然な表情が感じられる空間となるよう計画しております。

玄関前の門柱には、「オオヤウォール」を使用しました。これは、大谷石特有のやわらかな石肌や穏やかな表情を、コンクリート製品で再現した素材です。天然の大谷石は非常に趣のある素材である一方、風化しやすさや施工コストの面で扱いが難しい部分もあります。そこで今回は、意匠性と実用性のバランスを考慮し、質感を活かしながら耐久性にも配慮された素材を選定しております。やさしい色合いや自然なテクスチャーが、建物や植栽とも馴染み、落ち着きのある門まわりを演出しています。


また、お庭の道路側にはマットブラックのアルミ製パーティションを設置しております。
一般的なブロック塀や高いフェンスで完全に閉じてしまうのではなく、空間をゆるやかに仕切りながら、植栽によって自然に視線を和らげる構成としました。適度なプライバシーや防犯性を確保しつつも、閉鎖的になり過ぎない、開放感のあるお庭を意識しています。
パーティションはアルミ材ですが、アイアンのようなシャープな印象を持ちながらも、耐久性やメンテナンス性に優れています。造作のアイアンフェンスと比較するとコストも抑えやすく、今回のお庭全体の雰囲気にも自然に馴染む素材として選定しました。



アプローチには、諏訪鉄平石の大判を用いております。
一枚一枚異なる形や表情を持つ石材のため、並べ方によって自然なリズムや奥行きが生まれ、歩くたびに変化を感じられるアプローチとなっています。無機質になり過ぎないよう、あえて石同士の間隔にもゆとりを持たせ、周囲の植栽やマルチング材と馴染むよう構成しました。
*写真では掃き出し窓から敷石まで距離が空いております。こちらは当初、ハードウッドの木材で縁側を作る計画がありましたが、お客様の方でDIYでお作りになられることになりました。


また、お庭の入口付近は法面状になっていたため、植栽だけでなく、景石やマルチング材、グランドカバーなどを組み合わせることで、土が流れにくいよう配慮しております。機能面だけでなく、自然な起伏を活かした柔らかな景観となるよう意識しました。
植栽については、お客様のご希望を伺いながら樹種を選定しております。
玄関前には、お客様が以前から植えたいとお話されていたスダチを植栽しました。まだ若木ではありますが、これから環境に馴染み、少しずつ成長していくことで、お庭の象徴的な存在になっていくことを楽しみにしております。
そのほかにも、モミジやロウバイ、コーストバンクシアなど、それぞれ異なる表情や季節感を持つ樹木を組み合わせることで、四季の変化を感じられる植栽計画としました。

また、駐車スペースの土間コンクリートについては、車のタイヤが乗る部分のみに限定して施工しております。必要な機能をしっかり確保しながら施工面積を抑えることで、コストバランスにも配慮した計画となっています。
全体として、素材そのものが持つ質感や、植栽の柔らかな表情を大切にしながら、建物と自然が無理なく調和する庭作りを目指しました。
門まわりからアプローチ、植栽スペースに至るまで、それぞれが主張し過ぎることなく自然に繋がり合うことで、日々の暮らしの中で心地良く過ごせる空間となるよう計画しております。
また、今回のお庭は、完成した瞬間が完成形ではなく、これから植物が成長していくことで少しずつ表情を変え、時間とともに深みを増していくお庭でもあります。
季節ごとの葉色の変化や木々の成長、足元の草花が広がっていく様子など、暮らしの中で少しずつ風景が育っていく過程も楽しんで頂ければと思っております。
年月を重ねることで、建物や素材、植栽がお互いにより馴染み、この場所ならではの落ち着いた景観へと育っていくことを願っております。
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