保谷の庭

東京都東西東京市にある個人邸のお庭を手がけさせて頂きました。今回はお庭のリニューアルになります。

もともとのお庭は、既存樹木や庭石など、長い年月をかけて育まれてきた魅力を持つ一方で、雨水の滞留や雑草管理、プライバシー面など、暮らしの中でいくつかの課題を抱えていました。

そこで今回は、既存の景観を活かしながら、水はけの改善と管理負担の軽減、そしてお庭で快適に過ごせる空間づくりをテーマに、全体のリニューアルを行いました。

・施工前のお庭

特に大きな課題となっていたのが、雨水処理と地形による排水の問題です。お客様からは、強い雨の際に雨水桝から水が溢れ、庭石周辺まで水が溜まってしまうこと、また敷地自体が隣地より低く、庭全体がやや盆地状になっているため、床下換気口からの浸水も心配しているとのご相談を頂いていました。

既存の雨水桝を確認したところ、古い仕様のコンクリート製枡が埋設されているだけの状態で、内部には泥が堆積し、本来の機能を十分に果たせていませんでした。そこで、直径・深さともに約700mm程度の穴を掘削し、その中心に新たな雨水桝を設置。周囲には5号砕石を充填し、さらに透水シートで包み込むことで、自治体が定める仕様に準拠した浸透性の高い構造へと改修しました。施工後には透水実験も行い、問題なく水が浸透・排水されていることを確認しています。

また、庭全体の地形そのものも見直しました。以前は道路側から家側の方へ一方的に水が流れる形状になっており、さらに既存テラス周辺が局所的に窪んでいたため、雨水が滞留しやすい状態でした。実際、施工前にお客様から見せて頂いた写真には豪雨後に庭全体へ広範囲に水が溜まる状況が見られました。

そこで、まずはお庭全体を造成・整地し直し、水の流れを根本から再設計。従来は家側に集中していた排水を、道路側にも自然に逃がせるよう勾配を調整しました。さらに道路沿いには素掘りの側溝を設け、雨水が地中へ浸透しやすい仕組みを構築しています。側溝内には枝葉を入れていますが、これは土留めとして機能し、側溝の崩れを防ぐためのものです。

・敷地の所々に土中の通気性や浸透性を改善する点穴を設けました。

既存のコンクリート土間については、その上からアンティーク風の硬質砂岩による自然石を張り、石畳のテラスへとリニューアルしました。落ち着いた質感の石材が、既存樹木や庭石とも自然に馴染み、お庭全体に柔らかな統一感を与えています。

このテラスは、お客様が椅子やテーブルを置いてお庭でゆっくり過ごせる場所としての役割だけでなく、既存土間よりも高さを持たせ、さらに道路側へ奥行きを広げることで、床下換気口への雨水侵入を防ぐという機能面も兼ね備えています。テラス周辺にも素掘りの側溝を設け、割栗石を配置することで、排水性と意匠性の両立を図りました。

 

管理面では、針葉樹の生垣や大きくなり過ぎていた柿の木を整理し、メンテナンス負担の軽減を図っています。敷地全体には、針葉樹の樹皮によるマルチングを施し、さらにグランドカバーを植栽することで、雑草の発生を抑制。お客様は砂利敷きをあまり好まれていなかったため、自然素材を活かした方法で管理性を高めています。

一方で、マルチング材やグランドカバーは、雨天時には靴裏へ付着しやすくなるため、お庭の主要動線には諏訪鉄平石の大きめの飛び石を配置しました。歩きやすさを確保すると同時に、庭全体の景観に自然なリズムを与えています。

また、生垣を撤去したことで道路からの視線が通りやすくなったため、プライバシー保護と防犯性向上を目的として、ハードウッド「イタウバ」を使用した天然木フェンスを新設しました。耐久性の高い亜鉛溶融メッキ処理の柱金具を採用し、将来的に柱が傷んだ場合でも木部のみ交換できる仕様としています。

フェンスは一般的な横張りではなく縦張りとすることで、全体をすっきりとシャープな印象にまとめました。天然木特有の質感や経年変化も、このお庭の景観にゆっくりと馴染んでいくかと思います。

既存の樹木や庭石など、もともとこの場所にあった魅力を活かしながら、排水・地形・動線・管理性を丁寧に見直すことで、安心して長く付き合えるお庭へとリニューアルすることができました。これから植物が成長し、グランドカバーや木々が馴染んでいくことで、完成時とはまた異なる、より自然で奥行きのある風景へと育っていくことを願っております。

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