新座の庭

埼玉県・新座市にある個人邸のお庭作りを手がけました。

今回はお客様のご要望もあり、請負工事と、お客様のDIYによる庭作りをサポートする弊社のサービス「DIYガーデンプロジェクト」を組み合わせた庭作りで行いました。

*「DIYガーデンプロジェクト」についてはこちらをご参照下さい。

アプローチや駐車場土間の洗い出し、木製の機能門柱など、DIYでは技術的に難しいところなどは請負工事で行い、それ以外のウッドデッキ・フェンス・芝張りなどは、弊社スタッフがサポートをしながら、お客様と一緒にDIYで作り上げました。

今回の庭作りにおいて、今までと大きく違う点として、「一般社団法人 大地の再生 結の杜づくり」の矢野智徳氏が提唱し、全国各地で実践している「通気浸透水脈工事」を本格的に取り入れました。

【一般社団法人 大地の再生 結の杜づくり】

https://daichisaisei.net/

「通気浸透水脈工事」とは、現代のコンクリート土木によって遮蔽された大地、その土中の停滞した空気や水の流れ・循環を改善することで、植物はもとより、そこに暮らす人々の住環境を、より快適なものに導いていく手法です。

主に地形が変換する場所に溝や点穴を掘ることで、土の中に圧迫された空気や水の圧力が抜け、掘った深さの地形の落差で大気圧が働き、土中の空気と水の流れを改善します。

掘削した溝や点穴には炭や竹、枯れ枝などの有機物や石などの 無機物を適度な隙間を持たせながら混ぜ入れ、その付近には植物を植えます。

植物の根がそれら有機物や無機物と絡まることで、微細な隙間が維持され、一般的な暗渠排水とは違い、目詰まりすることなく、恒久的な通気浸透水脈が作られます。

今回はその溝や点穴が動線と深く関わってくることから、透水管を入れ、その上に竹を敷き詰めることで、人が踏んでも沈みにくく、安全に歩行し易い作りにしています。その後、多少の埋め戻しを行い、表土を砂利や腐葉土でマルチングしました。

通気浸透水脈工事は作ったら終わりという訳ではなく、庭作りと同様、定期的な観察や手入れが必要になります。

そこで、お客様にも水脈作りの原理原則や施行方法などを知って頂くことで、メンテナンスが容易になり、将来的に水脈を追加したいということになった時も、お客様自身で作業が進められるよう、今回の水脈工事には、お客様にも参加して頂きました。子供でもできる作業内容ですので、お客様のお子様にも頑張って作業に取り組んで頂きました。

もうひとつ、今回の庭作りでこだわったことは、特に駐車場部分の土間コンクリートをなるべく最小限に抑えることでした。

ヒートアイランド現象の原因のひとつでもある、コンクリートやアスファルトの、特に夏場の太陽の強い照り返しや蓄熱を抑えるという目的もありますが、広範囲に土間コンクリートを敷設することで、大地に過剰な土圧がかかり、また、大気や雨水が土中に浸透しづらくなります。それによって、土中の空気と水の流れや循環が損なわれるのを防ぐためというのが、もうひとつの主な理由です。

そこで今回は、車のタイヤが乗る轍部分のみ土間コンクリートを敷設し、大磯砂利による洗い出しを施しました。

特に車が駐車していない時などは、その間に敷かれた御影石の敷石とともに、玄関へと続くひとつの大きなアプローチとして見えるよう、景観的にも連続性や統一感があり、土間コンクリートでは出せない、時を経るごとに味わいや深みが増すような仕様を目指しました。

新座市は、平林寺周辺に広大な雑木林が今もなお存在し、かつてこの辺りが「武蔵野」と呼ばれていた頃の面影を残す地域です。

その自然と人との暮らしが調和していた地域の歴史や環境を、現代の暮らしにおいても大切に引き継いでいきたいと考え、植物にはコナラやカシ、イヌシデなどの雑木を中心に植栽致しました。

他の植物には、ナツハゼやイチゴの木、ハーブ類などの料理にも使える植物を選び、ただ観賞するだけでなく、収穫の楽しみがあり、お客様やそのご家族が積極的に庭に関われるような植栽を心がけました。

施行を開始してから3ヶ月ほどが経った頃、植栽帯には、施行前には見られなかった可愛らしい雑草がグランドカバーのように繁茂していて、それを昔からこの近辺に住むおばあちゃんが、とても懐かしがって見ておられました。

昔この辺りがまだ雑木林の多く残る地域だった頃、普通にその辺に生えていた雑草だったようです。

庭作りによって、少なからず環境が再生されてきたのが感じられる、とても嬉しい出来事でした。

これから、植えられた木々が大きく育ち、今よりも更に豊かな住環境になることで、地域とともに愛着のある庭に育っていくことを願っております。

 

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