庭づくりというと、まず植物を思い浮かべる方も多いかもしれません。どんな樹木を植えるのか、どのような草花を組み合わせるのか。植栽は庭の印象をつくる、とても大切な要素です。
そして、それと同じくらい大切なのが、庭の足元をどうつくるかということです。アプローチやテラス、建物まわりなどを、どの素材で、どのくらいの範囲まで仕上げるのか。その選択によって、庭だけでなく建物の印象も大きく変わります。
また、歩きやすさや掃除のしやすさ、雑草の管理、将来的なメンテナンスまで大きく変わります。
自然石なのか、タイルなのか、コンクリートなのか。あるいは人工芝やウッドデッキを取り入れるのか。同じ植栽でも、足元に使う素材によって、庭全体の見え方や使いやすさは大きく変わります。
そのため庭づくりでは、植物と足元を別々に考えるのではなく、それらをひとつの空間として考えることが大切です。
今回は庭の足元、つまり舗装に使われる代表的な素材について、それぞれの特徴と、素材を選ぶ際に考えておきたいことをご紹介します。
素材を選ぶ際、色や質感など、完成したときの見た目はもちろん大切です。ただ、庭は屋外にあります。雨や日差しを受け、植物が成長し、素材も少しずつ変化していきます。
そのためSHIKINOWA DESIGNでは、完成直後の見た目だけではなく、10年後、20年後にその庭がどうなっているかも考えながら素材を選びます。時間が経つことで風合いが増していく素材もあれば、定期的な交換や補修が必要になる素材もあります。
もちろん、できるだけメンテナンスの少ない素材を選ぶことも大切です。
一方で、長く庭をきれいに保つには、手を入れたくなるような、愛着を持てる素材であることも欠かせないと考えています。
植物や石、木などの自然素材は、時間とともに少しずつ表情が変わります。その変化を見守りながら手を入れていくうちに、庭への愛着も深まっていきます。
初期費用やメンテナンス性だけでなく、耐久性、経年変化、補修のしやすさ、そして長く付き合っていける素材かどうかまで含めて考えることで、その場所に合った素材が見えてきます。
自然石の魅力は、一枚ごとに異なる色合いと、石そのものが持つ質感にあります。均一につくられた素材にはない奥行きと表情があり、植物ともよくなじみます。耐久性が高く、長く使えることも特長です。
自然石は高価なイメージを持たれがちですが、種類や厚みを選べば、タイルやレンガと近い価格のものも多くあり、意外と庭に取り入れやすい選択肢だと思っています。
SHIKINOWA DESIGNでは打ち合わせの際に、できるだけ実際の石をご覧いただき、色合いや質感を確認しながら、ご予算に合わせて素材を選んでいます。写真だけでは分かりにくい自然石ならではの表情も、実物を見ることで感じていただけます。
タイルは、色やサイズが均一なため、すっきりとした現代的な空間をつくりやすい素材です。色柄の選択肢も多く、住宅の外観や室内の床材とも合わせやすいのが魅力です。
表面が比較的フラットで掃除がしやすく、吸水率の低いタイルであれば、汚れが染み込みにくいという良さもあります。
一方、一般的なタイルは厚みが9〜10mm程度と薄いため、屋外では下地のコンクリートをしっかりとつくる必要があり、工事費用がかさむことがあります。また、硬いものを落としたり、台風などの飛来物が当たったりすると、ひび割れや欠けが生じることもあります。
見た目や掃除のしやすさに優れる素材だからこそ、下地まで含めた施工と、将来の補修も考えて選ぶことが大切です。
コンクリートは、駐車場やアプローチなど幅広い場所で使われている素材です。強度と耐久性があり、比較的費用を抑えやすい点も魅力です。
一方で、無機質な素材のため、タイルなどの人工的な素材とは合わせやすいですが、自然石や植栽とは質感が合いにくく、面積が大きくなると庭全体が硬い印象になりやすい面があります。自然石や植栽と合わせる場合は、表面に小石の質感が現れる洗い出し仕上げをおすすめしています。
また、乾燥や温度変化による収縮でひび割れが生じることがあるため、SHIKINOWA DESIGNでは面積が大きい場合に目地を入れて区切り、不規則なひび割れが出にくいようにしています。土汚れも意外と取れにくいため、駐車場まわりでは土を露出させず、砂利などでしっかりと仕上げることをおすすめしています。
仕上げ方や周囲との組み合わせまで考えて選ぶことが大切な素材です。

・「大泉の庭」で作ったコンクリート洗い出しと自然石のアプローチ
人工芝は、芝刈りが不要で、年間を通して緑の景観を保ちやすいことが大きな特徴です。
一方で、「手間がかからず、費用も安い」というイメージがありますが、必ずしもそうとは限りません。
例えば、タカショーの「透水性人工芝 ブラッシュタイプⅡ」は1㎡あたり10,880円です。
一方、SHIKINOWA DESIGNでよく使用する自然石「フォレストペイビング」には、1㎡あたり8,990円のものもあります。自然石は高価と思われがちですが、材料費だけを比べると、人工芝より安い場合もあります。
また、人工芝も土の上にそのまま敷けばよいわけではありません。地面を整え、しっかりと締め固め、防草や排水まで考えて下地をつくる必要があります。下地処理が不十分だと、凹凸や水たまりができたり、隙間から雑草が生えたりする原因になります。
さらに、人工芝は永久に使える素材ではなく、一般的には10年前後を目安に張り替えが必要になります。交換の際には、新しい人工芝の材料費や施工費だけでなく、古い人工芝の撤去・処分費もかかります。そのため、初期費用だけではなく、将来的な交換まで含めて考えることが大切です。
人工芝は、小さなスペースや、日差しや雨の影響を受けにくい場所、スポーツ用途など、使う場所や目的がはっきりしている場合に向いている素材だと考えています。
建物と庭をつなぐ床面として、ウッドデッキを取り入れる方法もあります。室内から庭へ出やすくなり、腰掛けたり食事をしたりと、庭を実際に使うための場所としても役立ちます。
ウッドデッキには、大きく分けて天然木と人工木があります。人工木は品質が均一で、塗装などの維持管理を抑えやすいことがメリットです。一方で、木粉と樹脂を組み合わせた製品が多く、永久に劣化しない素材ではありません。長く使う中で、色あせや反り、カビなどが生じることもあります。
SHIKINOWA DESIGNでは、屋外のウッドデッキには、イタウバなど耐久性に優れたハードウッドをおすすめし、施工しています。
イタウバは、欧州で木材の耐久性を5段階に分けた区分のうち、最も耐久性が高いクラス1に分類される木材で、屋外デッキや橋梁などにも使われています。この区分の上位2つ(クラス1〜2)の木材は、ドイツの木材販売店の施工ガイドでは、正しく施工すれば20〜30年ほどが目安とされています。
また、イタウバなどのハードウッドは、木そのものが高い耐腐朽性や耐蟻性を持つため、防腐・防蟻塗料を定期的に塗る必要がありません。天然木でありながら、比較的メンテナンスの手間を抑えやすいことも大きな魅力です。
さらに、傷んだ板だけを交換したり、表面を削って補修したりと、手を入れながら長く使えることも天然木の良さです。人工木の方が長持ちすると思われることもありますが、耐久性だけでなく、経年変化や補修のしやすさまで含めて選ぶことが大切だと考えています。

庭づくりでは、ひとつの素材だけを見て決めるのではなく、庭全体のバランスを考えることが大切です。建物の外観や植栽、日当たり、周辺環境、そして、その庭でどのように過ごしたいのか。そうした条件によって、適した素材やつくり方は変わります。
例えば、アプローチには自然石、建物から庭へ出る場所にはウッドデッキ、駐車場にはコンクリートというように、それぞれの場所や使い方に合った素材を組み合わせることで、使いやすさと庭全体の統一感をつくることができます。
SHIKINOWA DESIGNでは、素材の価格や完成したときの見た目だけでなく、10年後、20年後にどう変化していくのか、どのくらい手入れが必要なのかまで考えながらご提案しています。ご予算やお手入れにかけられる時間も含めて、それぞれの暮らしに無理のない庭を一緒に考えていきます。
「どの素材が良いのか分からない」「今ある庭をどう変えれば良いのか分からない」という段階でも構いません。お話を伺いながら、その場所と暮らしに合った庭をご提案致します。
これからこのBlogでも、自然石、タイル、コンクリート、人工芝、ウッドデッキなどについて、実際に設計・施工する立場から、できるだけ分かりやすくご紹介していきます。
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